がん桶 山口 保 さん がん桶って、紙切りがおって、立派に紙を切って飾る。 結局、座って葬って、神輿みたいに。火葬場に持ってった。 おいぼう、甥っ子4人でおってった。 火葬場がないころは、せんだんぎって、割れ木を積んで。せんだんぎにする。 焼け出すと、ぴゅーっと伸びる。 暴れる人にになると、焚き物積んだどころから落ちるわね。 こおれは、だめだって、ことで、みんなで死んだ人を、ひきあげる。 台から落ちた。にょーって。 どよめく。生きりかえしてしまうんで、気持ち悪いで、みんな逃げた。 酒飲んで、酒飲んで、焼いた。 甥っ子が焼くようになっとった。おじさんとかおばさんとかを焼く。4人。 兄弟でなけりゃ、また、他の兄弟から来て焼いて。 おばさんを焼いたときは、おんなじ兄弟ばっかで四人で焼いた。今夜飲もうかや。 気持ちよくないで、酒飲もかいと。俺ら4人で日本酒二升。それから、ビールを五、六本。みんなあきれて。まだ、足らんもんで。 酒飲んで酒飲んで。酒飲んでやらんと、きたねえし。焼いとって臭いし。 材木をタテ、ヨコに1メートル、2、30積んで。その上に箱に乗せたおじさんとおばさんをちょこんと載せて。そのうちに、上のがんおけがはぜて。にょーって。おい、暴れたぞお。落ちてまうと、焼けせんで。みんなで、棒で、おい、やって。 おいぼうは兄弟の上から上から四人とられるもんで、上だからやらなあかん。下の方で番が来んで、やったことないで、やってみたいという人もいた。 重油のバーナーのセールスもやっ焼けんで来てくれ、というと、素人ばっかでやるもんで、火をつけたらはぜた、と。そりゃそうだ。バーナーあけて火つけんもんで。煙ばっかで。そんでも、重油だらけで、火をつけたら、それははぜるわな。死んでまうぞ、って怒った。 どんだけやらせられたか。
メモ帳がわりにアップしています。 岐阜県揖斐郡揖斐川町春日 美束 中山 上ケ流、下ケ流、川合で聞いたこと