滋賀県の高島郡に何十年前、三十歳代に行っておった。滋賀県の造林公社に、公社が用意してくれた古寺に寝泊まりしとった。美束二人で行ったっところに、五人ぐらい中山の人が入り込んできて、お堂の中に寝たんだ。みんな。賑わしなったでよろこんで。五時には仕事に行く。
猿の大群がくると、猿ぼうかやって言うと、両方でぼうる。100匹ぐらいの群れが来よる。木で倒す。地元の人が、そんなことをしたら、絶対あかん、絶対あかんと。
それがね。山肌でね、仕事をしとると来るんじゃ。1週間おきに来る。1週間経ったで猿がくるぜや、と言うと、ほらほら来た来た鳴きだしたって言うと大体一週間でまわって歩く。
仕事してる上に来るとね、木をゆさぶったりなんだりして悪さしてくるの。そのかわり俺ら仕事してる下へ来るとね。そこそこっと行ってまう。そりゃ、下ならぶつけられると。上ならぶつけられないということわかっとって。夕方に来ると、今夜はここで寝るなってわかる。行かへん。朝いってみるとちゃんとおる。昼間きたやつは、おらん。夕方来たやつは、朝行ってみるとちゃんとおる。猿は人間さんと同じ夜行性じゃないな。
上に来たときは、騒いで、騒いで木をゆさぶって。100匹ぐらいの群れが来るんだ。
白谷のスキー場の真向かいやっとったんじゃ。
あっちの人は親切だった。遠いところを仕事へ来て下さったんやで。ビールを5本ぐらいもってね区長さん、来てくれた。お寺に泊まってると、お風呂に入ってくださいと言ってくれる。行くのいやなんやね。若いで。じゃんけんして負けたものが行く。沸かしてくれるんやね。でも、若いときはいやなもの。ジャンケンしては行ったもんだ。三年ぐらい行った。
堅田温泉の温泉で遊びにいった。あんな、金もうけたことはない。1日4万円、50年も60年も前にその金額。
お堂に寝とると、仏さんが、見るやろ、二人で寝とると、仏さんが水晶玉かなんか入れてる、立仏がギローって、懐中電灯で照らすと、気持ち悪くて気持ち悪くて。
下刈りで木を伐って、県事務所が良い仕事やるんだで喜んでくれた。小宮神、川合からも何十人と。春に呼び出されていったら、去年、植林したところ怒られると思ったら、お聞きしたい、これお目玉くらうと思って、粗末の植えしたって言われへん。
おそるおそるしゃべる。何千本ってうえた檜が枯れてまったが、活着悪いで、春また植えなおすが、あんたんとこは、ほとんど枯れてませんでしたって言う。うれしかったけど、植え方を教えてほしい、って講師に行ってほしい。
笹原の上に植えたのに、まじめ腐って、ほどいて植えた、それが悪かった。そんで、あかん、熊笹の根がきれてあがると乾燥する、根付きをせんうちに、何千本って枯れてまった。俺らは、えれえで、掘って植えるのはやらなんだ、一二三で、一本植えた。早いのなんの、並んで。一は鍬をたっと山へ、二はひっぱる、三は背中におんどる苗を入れる。かけごえで、鍬は刃物ほど切れるほど研いだる。えらい。ごっとおこしたらドン。ほしたら、おこしただけで、泥で入れたるもんだで、そいで足でばんと。乾燥せんのじゃ。もともの地山と同じじゃで地がはった。
一二三で植えたって言われせん。次の仕事もやってください。堅田温泉の上の方の山の中。遠い、こんなえらいところ、どうにもならん。50ヘクタール。たいした仕事じゃ。半場つくってもらってお風呂つくってもらってうけた。単価をようくれた。比良さんの上の方だ。ところが、木が伐ってしまってある。三分の二ぐらい、植えるだけでよかった。これはもうけたと切り株に座っていたら半日ぐらい経っておった。
役所からの金をみんなで分けんならん。木の本のお宮さんで分けた。ほしたら、だれや知らん、警察に通報したおのがおる。そりゃそうだ。社の拝殿に行って、お前、5万円、お前、食費ってわけとった。そしたら、それを誰かが見て警察に、泥棒がおる。そしたら、警察が来てまって。どうにもならん。あやしい金じゃない。岐阜県から来たもんじゃと免許証も見せて。それ何十万という金をびらびらと通報されて。高島の県事務所の人に電話したら、失礼しました、って警察謝って。
まあ、えらいで、敦賀の峠、国道8号線を行って飯食って帰ろうかやって。そりゃそうだ。山仕事で、口ひげはうざうざ。何軒もあったの、食堂がね。これが一番よさそうなところだって。ごっつお頼んで。ほしたらさ。いつまで経っても、ごっつぉ作ってくれん。俺と他の人たは、ピンときた。これはな、俺らな、こんな汚いかっこでおるで、お金もっとらんと思って、つくらん。一つ仇うとうかということになって、どうするじゃ。見とれ、俺がいの一番に出掛ける。
飯代をは払わんと思って、つくらんで。ガムちょうだい。50円。ガムはくれる、飯はくれないでも。1万円出す。そりゃ、びっくりするわな。金もっとらんと思ってつくらなんだ。50円のガムに1万円出して。あわてて、作り出した。
こんだけで、俺ら、済まさん。いくら、汚いかっこしたって、そりゃそうだわね。1週間でも汚い山男。せんたくもしとらん。おい、お前の番だ、ガムかって来い、そいつらもピンと来て、ガムちょうだい。また、1万円出して。
そしたら、向こうの人が右往左往しだして、飯は作らなんだと腹があるじゃろ。謝るに謝れん、ほしたら、まだ、1人あった。また、ガム、お釣がない、こらえてくれませんか。いくらその当時、峠の茶屋にお釣が無かったぐらいじゃ。三人目行ったら謝った。頼む、こらえてくれんか。それ、俺ら、どざまみやがれ、って飯食って。
猿の大群がくると、猿ぼうかやって言うと、両方でぼうる。100匹ぐらいの群れが来よる。木で倒す。地元の人が、そんなことをしたら、絶対あかん、絶対あかんと。
それがね。山肌でね、仕事をしとると来るんじゃ。1週間おきに来る。1週間経ったで猿がくるぜや、と言うと、ほらほら来た来た鳴きだしたって言うと大体一週間でまわって歩く。
仕事してる上に来るとね、木をゆさぶったりなんだりして悪さしてくるの。そのかわり俺ら仕事してる下へ来るとね。そこそこっと行ってまう。そりゃ、下ならぶつけられると。上ならぶつけられないということわかっとって。夕方に来ると、今夜はここで寝るなってわかる。行かへん。朝いってみるとちゃんとおる。昼間きたやつは、おらん。夕方来たやつは、朝行ってみるとちゃんとおる。猿は人間さんと同じ夜行性じゃないな。
上に来たときは、騒いで、騒いで木をゆさぶって。100匹ぐらいの群れが来るんだ。
白谷のスキー場の真向かいやっとったんじゃ。
あっちの人は親切だった。遠いところを仕事へ来て下さったんやで。ビールを5本ぐらいもってね区長さん、来てくれた。お寺に泊まってると、お風呂に入ってくださいと言ってくれる。行くのいやなんやね。若いで。じゃんけんして負けたものが行く。沸かしてくれるんやね。でも、若いときはいやなもの。ジャンケンしては行ったもんだ。三年ぐらい行った。
堅田温泉の温泉で遊びにいった。あんな、金もうけたことはない。1日4万円、50年も60年も前にその金額。
お堂に寝とると、仏さんが、見るやろ、二人で寝とると、仏さんが水晶玉かなんか入れてる、立仏がギローって、懐中電灯で照らすと、気持ち悪くて気持ち悪くて。
下刈りで木を伐って、県事務所が良い仕事やるんだで喜んでくれた。小宮神、川合からも何十人と。春に呼び出されていったら、去年、植林したところ怒られると思ったら、お聞きしたい、これお目玉くらうと思って、粗末の植えしたって言われへん。
おそるおそるしゃべる。何千本ってうえた檜が枯れてまったが、活着悪いで、春また植えなおすが、あんたんとこは、ほとんど枯れてませんでしたって言う。うれしかったけど、植え方を教えてほしい、って講師に行ってほしい。
笹原の上に植えたのに、まじめ腐って、ほどいて植えた、それが悪かった。そんで、あかん、熊笹の根がきれてあがると乾燥する、根付きをせんうちに、何千本って枯れてまった。俺らは、えれえで、掘って植えるのはやらなんだ、一二三で、一本植えた。早いのなんの、並んで。一は鍬をたっと山へ、二はひっぱる、三は背中におんどる苗を入れる。かけごえで、鍬は刃物ほど切れるほど研いだる。えらい。ごっとおこしたらドン。ほしたら、おこしただけで、泥で入れたるもんだで、そいで足でばんと。乾燥せんのじゃ。もともの地山と同じじゃで地がはった。
一二三で植えたって言われせん。次の仕事もやってください。堅田温泉の上の方の山の中。遠い、こんなえらいところ、どうにもならん。50ヘクタール。たいした仕事じゃ。半場つくってもらってお風呂つくってもらってうけた。単価をようくれた。比良さんの上の方だ。ところが、木が伐ってしまってある。三分の二ぐらい、植えるだけでよかった。これはもうけたと切り株に座っていたら半日ぐらい経っておった。
役所からの金をみんなで分けんならん。木の本のお宮さんで分けた。ほしたら、だれや知らん、警察に通報したおのがおる。そりゃそうだ。社の拝殿に行って、お前、5万円、お前、食費ってわけとった。そしたら、それを誰かが見て警察に、泥棒がおる。そしたら、警察が来てまって。どうにもならん。あやしい金じゃない。岐阜県から来たもんじゃと免許証も見せて。それ何十万という金をびらびらと通報されて。高島の県事務所の人に電話したら、失礼しました、って警察謝って。
まあ、えらいで、敦賀の峠、国道8号線を行って飯食って帰ろうかやって。そりゃそうだ。山仕事で、口ひげはうざうざ。何軒もあったの、食堂がね。これが一番よさそうなところだって。ごっつお頼んで。ほしたらさ。いつまで経っても、ごっつぉ作ってくれん。俺と他の人たは、ピンときた。これはな、俺らな、こんな汚いかっこでおるで、お金もっとらんと思って、つくらん。一つ仇うとうかということになって、どうするじゃ。見とれ、俺がいの一番に出掛ける。
飯代をは払わんと思って、つくらんで。ガムちょうだい。50円。ガムはくれる、飯はくれないでも。1万円出す。そりゃ、びっくりするわな。金もっとらんと思ってつくらなんだ。50円のガムに1万円出して。あわてて、作り出した。
こんだけで、俺ら、済まさん。いくら、汚いかっこしたって、そりゃそうだわね。1週間でも汚い山男。せんたくもしとらん。おい、お前の番だ、ガムかって来い、そいつらもピンと来て、ガムちょうだい。また、1万円出して。
そしたら、向こうの人が右往左往しだして、飯は作らなんだと腹があるじゃろ。謝るに謝れん、ほしたら、まだ、1人あった。また、ガム、お釣がない、こらえてくれませんか。いくらその当時、峠の茶屋にお釣が無かったぐらいじゃ。三人目行ったら謝った。頼む、こらえてくれんか。それ、俺ら、どざまみやがれ、って飯食って。