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麻畑 麻蒸場 美束

麻畑 山口保さん  麻はドクドク機で織った。ドクドクチャランと音がするので、ドクドク機という。伊勢湾台風で川に流してしまった。    落合橋をいって3軒ばか家がある折本の上にね40人が所有している麻畑があった。この集落でそこに畑がないのは貧乏人じゃ。それほど貴重だった。この間、いったら、猪がほって穴だらけ。  麻の種を蒔くのは大体4月のしまい、5月のはじめ。8月上旬には収穫する。  麻は2m50ばかりなりよった。その集落の全域が誰一人作らないものはいない。一面、アサバタで子供のころはかくれんぼ。喧嘩して麻を蹴飛ばしては歩くやろ。よう叱られたもんだ、悪いことをすると。  直径20センチの束に刈り取る。そのまま麻蒸場(あさむしば)にもっていく。麻蒸場は集落に5、6カ所。5人ぐらいで組んで竈をつくる。おかまの中に麻をいっぱい入れて、蓋にするために、桶をひっくり返してぼとんとかぶせる。茹でるんじゃなくて蒸すんだよ。麻が2メートルあるので、地上から三メートルぐらいまで高いんだ。  なんで、指定の場所があったかと言うと、大木があるわけで、滑車をつけて人間さが引っ張り上げて。大きな木があるとこで、枝に滑車をつるすんで、枝を大切にしたもんだ。クレーンでやると同じ考え。  多い人は一日に何杯もやる。大体1日2杯ぐらい。それまた、条件があってね。近くに水が流れていなければ。できたやつを水で冷やさなければならない。川をせきとめて、水にふやかす場所がなくてはならない。だから、木があって、よりつきがよくて、水があるということで、あさむしば。  家庭へ持って帰って台所で。中の木を麻木っていうんだ。真っ白な奇麗なもんだ。もとの方をちょこっと皮むいて、指でひいてむくとしゅーっと。おもしろがって子どものころ、お庭までとんでいくようなね。しゅーっと。そうやって剥いたやつを、乾燥にして、かりかりにしておく。    表面は繊維にならないで、それをしごき、結局、麻の皮をむいて、半分割れてるもんじゃで、それを水にひやけしておいて、柔らかくなったものを、汚いのをとって、きれいにして、切れるほどではないが鉄でくくくと汚いところをとる。元の方は、とがるほど削る。根は大事な繊維のとこまでとるぐらい。  ひもでくくってずらっと乾燥させる。1カ月、寒中にさらす。どこの過程でも