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  兄が出征するとき 新川定琴 兄が出征するとき、 「兄さんが行くよ」、と隣の山田さんがわしを抱き上げて見せてくれたのを憶えている 小学校の縁で、雪があった。山田さんの雪に足がめりこんだものと思う 兄が表橋を行くのを憶えている わしを抱き上げて。兄さんが向う通るで、通るよっていって そんなものは、ちっちゃいで見えやせんで、向うが 見えなかった、雪があったで そして、抱き上げて。見せてくれたのを、憶えとる そりゃねえ、すならでみんな別れた ちょっと小高いところに平があって、そこへ登れるようになっとったんやろね あれや。ちょっと雪があったもんだで山田さんが、雪を踏み固めてなあ 踏み固めてくれて。ちょっと向うの方まで行って わしを抱き上げて。見してくれた。向いを通るで見てみよっていって隣の衆はみんなほとんど隣は帰ってきたんやね。兄貴だけは戦死した。 おこどの橋まで毎晩、母親が迎えに行った。今夜は来るか、今夜は来るかということで、 石油ランプをともしてわしを連れにして、迎えにいったんやけど。兄貴が外泊で帰って来てな、頭をかってくれたわ。 おふくろが急いで餅をつくってたべさせたことは憶えている
  しゅびよくほうむってただいまかえりました 話者 新川定琴 「しゅびよくほうむってただいまかえりました。」というようになったのは おいぼうが、さんまいで井桁に木を組んで、なきがらを焼き、家に行って、風呂に入り、正装して、施主挨拶する 昔、燃やしているところに大雨が降り、たきぎを探しに山に入っている間に、山犬が亡骸を持って行ってしまった。それから、問題なく焼けると、しゅびよくほうむってと言うようになった
熊探し 新川茂至 81歳  夏場さ、あそこへ出たとか、ここへ出たかというとこの冬の冬眠するところを だいたい、検討つける 国見の山の方ら降りてくると山が狭うなってくるやろ 川を渡ってみようということになる。 熊猟はほとんど冬眠してるやつだと頭ばっか ふっとこっち見るでな人間様を。巻狩りってやつわね 通り道に鉄砲持った衆がおるわ。 勢子っていうのは、中へぼいこむ人、追ってく人 待ち場っていうのは声もださんとじっとしておる 犬が鳴き出したと言ったら、いつでも撃てるぞという 目を瞑って寄ってくるまで待つ。そうじゃないと気づかれる 一番待ちは、一番通るとこへ行ってそこへおる
熊探し 新川茂至 81歳  熊探しは犬を上からかける。 上からかけてやると谷から風が上がってきて、 その風に乗って熊の寝とる風が山の上へ上へ来ると、それを上から犬がかざをとって すすう、すすうと。 かざを取って、かざの来る方、来る方へ犬がいくと。 そういうのが熊探しの先生のやり方。 風が上がってくるもので、それに、今度は匂いがついてくる 熊の寝とるところの匂いが上がってくる。 熊は息しとるでさ 息をしておるから、それがどうしても穴の中にあっても、外へは出る 雨が降って、寝床が濡れるわけじゃ、そうすると余計、蒸気がばあっと 熊の寝るのはね、おしりを合わせるようにして、頭をこう入れて。熊は足が短いでさ、頭を入れてまって、まるこうなって。