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10月, 2021の投稿を表示しています
聞き書き 小宮神    いまは、狩猟期間が短いの。11月から2月は15日で終わる。昔は半年あった。10月15日から4月15日まで狩猟期間。その中で、時期によってとるものがある程度違う。 春、4月、熊じゃ。熊も30いくつとった。大きなものなら、養老のたかぎと言う人が買い集めたんだが、福井県まで買い集めて買うといっておったが、その人でも、見たことのない熊やな。  かんもんめでいくと37貫500あったんじゃ。大きなもんやったで。 熊は、胆のうが高いんやで。当時は皮も高かった。皮も真ん中に将棋盤をおいて、やれるだけの皮やったらものすごう高かった。いまは、皮はだめ。 肉は金せん。油こうて。 鉄砲で、美束の山を山を越えて一番大きいやつは撃った。国見峠より、北の方。国見峠は岐阜県と滋賀県の境やでね。あれを越したら、植林。県のずっと奥まで、甲津原まで県公造林。そこで、5つばか撃った。 その当時は熊だと、4人グループがおった。 熊は犬が悪かったら全然だめだ。わしの持とった犬は秋田犬をかけた大きな犬じゃ。美束の古い猟師が一緒に師匠で歩いたが、こんな犬は何百も一匹もおらん犬やと。しまいに猪の小さいのくわえとって、名古屋の遊びに来た猟産師がくわえとるときに撃つなというのに、撃つてまった。犬の足を。 これは、命の次に大事な子やった。いのししなんか、300メートル向こうでも知っとったでね。 犬が良かったで、一人でも熊をいくつも撃った。 犬がね、匂いがすると、ふぉっと走るわ。匂いのするほうへ。冬は山の上から吹き下ろすんじゃ下に。上の方にくると匂いがばあ、と下の方へ来るんじゃ。すると犬はふっと頭上げて、匂い嗅いでるわ。なんか、おるなあ、匂いがきたなあと。鼻振っとる。そのうちに、方向決めてだああっと行きだすわ。そうするとね、風で匂いが消える時がある。 匂いが消えると、だああっと歩くわ。風の向きで匂いが来るところがあるんだね。すると、また走り出す。三千メートルかかると、ふっとひときりかかるわ。匂いが切れるときがある。 匂いが切れるととびあがって、ふっと、匂いが来んか。 あんな犬は、撃たれたときに鉄砲やめようと思ったな。わしが、45かそこらだ。 近くへいくと、匂いが濃いでね。熊だけは姿見えでも鳴く。猪や鹿は姿みえな、鳴かん。熊だけは匂いがきつうなると鳴き出す。鳴き方が違うの。 鹿はきゃんきゃんきゃんきゃ
  伊勢湾台風 聞き取り 小宮神 走り書き 宮神の土地は、水がいざったときにできた土地だ。  伊勢湾台風でも他の橋は通れなくなったけど、下の吊り橋だけは落ちはせなんだ。  六合にもりもりの上の橋も残った。  渡るところに木の橋があっちゃこっちゃあったけど、そんなもんは低いで流れてまう。ここで渡って、山を越えて行った。ひときりは。  伊勢湾台風は美束がひどかった。美束の貝月が中心で、集中豪雨が伊勢湾台風。  尾西はそうふらんなんだ。貝月が中心で降ったので、野営場の谷あたりは、まともに貝月。安土も貝月へ行ってる。付近谷も貝月。東谷の半ぺた貝月。あの辺はひどい荒れたんじゃ。大きな御影石でも落ちてきたんだ。 貝月の山が台風がいった後に見ると山が白かった。 谷口から抜けて。山がはげてまった。木はあったけど、美束の山は中がが花崗岩やで、上の泥が浅いで。  美束は地が浅い。すべってまうので、抜けになってまった。いまこそ、大きい抜けだけがわかるが、一時は山が白かった。抜けた土砂がどっと川へ来たので、ぼうでつついてみた。土砂ばっかり。美束から抜けが、いくつもの谷を抜けて。一つの抜けがくると落ちてくる。  下で見とると川の真ん中に山ができる。大きな石でも流れたんかと思ったら、山がいざってくる。 真ん中に山ができると、淵へ水がたまる。家の庭に水がついてくる。その山がいざって下へいくと、庭の水もさああとひいていく。何回も何回も土砂が流れる。そんだけ、美束だで遠ないで、土砂が波になってくる。大きな抜けごとに波になってくる。ひどいもんじゃ。  この下の川がいま3分の1あるなしの川だった。 そのあとに、室戸台風が来た。そいつは、伊吹山さんが中心。  その時分は大高線はないで、こちらから運ぶより仕方ない。古屋の分校にヘリコプターで食料を運んだ。  川が高いところでも御影石がある。御影というのは、美束にしかない。 それなのに、ここらでも御影が出る。川が高かったんじゃ。ここでも、御影ばっかじゃ。ここらは石原。向こうへいくと、美束の砂ばっか。下の平いくと、砂地じゃ。形が変わってまった。伊勢湾なんてもんじゃない。  小宮神も岩盤やし、発電所に水が落ちているのは当たり前だった。  嵐が来て、向こうへ山が切れて、あっちへ川がいった。川がいざっていったので、ここらは、美束から来た御影ばかし。大昔の話だ。  国見