【おかむかえ】
おかむかえとは、神様の集まり(確か出雲で)に行っていた神様が村の社に戻ってくるのを迎える日。「神様が戻ってくるのを見た」「馬に乗っていた」「橋の上で見た」といった話を随所で聞く。その由来について、美束の駒月氏に語ってもらったことがある。
橋を越した高い処にお宮さんがある。そこに、どえらい信仰家の人が住んでみえて、その人が菰を敷いて、神様を迎えておった。そしたら、「いま、戻ったぞ」という音がした。それから、馬の鈴の音がじゃらじゃらと聞こえてきた。
この話を女の人に話したところ、その女の人は「神さんが戻ってくることなんかあるもんか」と。その人はかえもと言うんだけど、「かえもどけー、かえもどけー」と神さんが戻ってきたと。それで、かえもは不治の病になってね。それから、神迎えを重視しだしたということだ。
禰宜になって、毎月、神社に通うなかで、神様に「1日に帰ってみれるのか、それとも30日に帰ってみえるのか、教えてください」と1週間ほど神様の前でお祈りしてね。籤をつくってお尋ねした。神様は1日やって。そりゃそうだわね。30日まで神無月。11月の12時に済んでから5時、月明けと言わした。夜明けぐらいには帰ってくる。だから、朝5時にはおまいりする。
げんばの橋というのはね、下馬の橋。社のすぐ下に2メートル50ばかりの木の橋が架かっていた。あそこを下馬の橋という。太鼓踊りに歌詞があるだろう。
げんばの橋へと早着いた
げんばが橋をうちこえて
流れる川で垢離を取り
下をはるかにながむれば
かすかに眺めるオヤガミ様を