南宮さんも草履履いて。おっかあについていった。日帰りやよ、じょりやよ。尻が破れて待って、1日がかりで、ちょっと参ったら、戻ってこにゃならんのや。この足で。
茂一さんが、みんなの買って、大垣持ってくのは茂一。押切は大切。いまでも、7000円で売ってるんやよ。
トウキってのは、一番匂いが良くてね。あと、ウドグサって、畑にしくとよくなかったや。ずずやしね。あれも切って、百草に混ぜた。ウドグサはどぶどぶくさる。
昔は、木の葉を取ってね、干すやろ、冬は水に湿らかせて、尻をふいた。藁でもふくんや。痛い痛い。クズは葉っぱが大きいやろ。草の葉も。
おっかさんの着物でパンツ、塗ってはいた。だんなも、先生がマラソン出てくれんかといってきたんじゃと。パンツがなくて、走れなかったと。
藁でぞうりつくった、かんなかけしないでね。すーっとこんのや。おばあに叱られた。わりゃ、つなぎ目按配せねば、ひっかかってこんのやよと。
自分の子供育てるのも麦ごはんじゃったよ。コッペパン10円で、かちかちで、1円でも探してね。
昭和20年当時はね、町も燃えてまってあらせなんで。戦争前は多少あったんだ。親が買っておいた着物を仕立て直して、子供に着せた。昭和12、3年まではまだよかった。
虱わいてね。着物にわくのは白いやつ。
アカシデの粒からちょっと泡が出る。それで洗って。
皆、戦争とられてまって、親の顔、しらんていうの。親に別れてまっとるで。