植物 牛 話者 山口 保氏
欅は真っすぐになろうとする。曲がった木であっても30年経つと真っすぐになる不思議な木じゃよ。
男と欅は粗末にするなと言ったものだ。ええかげんな男でも必ず真っすぐになる。
欅は春日にたくさんある。中山の四井さんにもあるだろう。
欅は赤木と青木があってね。赤木なら製品にしても良い。青木は狂いがくる。肌を見ればわかる。素性がいいから幹がボコボコ折れる。青木なんかはベターとして折れんでな。
伊勢湾台風では青木も赤木も折れた。20tの重機でも折れんのにな。
畑に入れるために草刈って、干しておいて、セタで負んできた。岐阜の方が見える草刈場で行きたくてな。
カタクリも一面こにあった。カタクリは根が深い。カタクリ掘って、簡単じゃ、おろして、すって、1日ばかりおくと沈むので、上の水あけて、湯を入れて。
カタクリは20㎝ぐらいほらにゃできん。7年しなければできない。カタクリの根を焼いて食べてもおいしい。
ヤマボウシの実は甘い。昨年、どえらいとなった。金平糖ような形。
山ではサルナシ、雪が降りだしてぶらさがってるやつ食べるとおいしいんだ。小さい、キュウイの原種。シラクチフジっていう。四国のつり橋、あれは秋切って収穫したら3年は腐らない。普通の藤は1年。
フジはこっちも橋で使った。川に木橋をかけてある。藤でゆわいた。水出ると両方ゆわくとちぎれてしまう。片側だけゆわいて、つるでくくってあると、川と並行して流れるだけ。丸木橋って半分にわったのをかけてあると、台風で流れる。それをかけなおす。かけなおすの見てたら頭がいい。水が出た時、ぶらんと流れているのをどんどん上流へひっぱっていくの、上流に向かってひっぱって流すと流れてきてちょんと向かい岸に届くから、そこでなおす。そんな橋がほうぼうあった。
牛も川は渡らせた。牛は怖がって橋を渡らないので、牛は泳ぐ。しょっちゅう農耕で使っている牛は賢いんだ。石の上はすべるんだで、はまったり。
それで、ある日、つないどいて、川の向こうで仕事をしていた。牛が一人でひょこひょこ来やがる。なんじゃ、あのやろう。ひっぱっても来んくせに、一人で来る。
昔は住んでいる家の中に牛を飼っておいた。玄関、入ったところに。牛の匂いもあった。汚いけどしゃあないわ。
ときたま、うおーんと呼ぶ。うおー、くれって。はそりって鍋に、藁やらおからやらそれ入れてくえってやる。
うおーってね。見えるし、三本棒の間から頭出してるで、やらな。春日中、家の中に。
小さな牛をね、とうざい、いっさいにならんうちから育てて。2年目ぐらいから田んぼ、使われて、4年、5年で売って、また、飼う。
教えなならなん。止まれっていうのは、ばあっていう。ちょうちょう、まわれっていう。水の中で、ばあっ、ていってたら、1時間もそのまま。鋤をつけたまま。稲の苗取りにいったら、100メーター、200メーター行ったって。ばあって言って、取りにいく。
ねじかみって言って、胃が三つあるでね。出してはギャンギャンと食べておる。田んぼにおらん時は外で寝てまっとってくれる。
もっと賢いことがある。4年間で出すやろ。馬喰ってのが来る。すると、おばあさんが「べろ、長いこと世話になった。すまなんだな」。涙を。ほんとだよ。たわしで、(みけん)なでてやってな。4歳が肉質が最高で、その時、売らんと売れん。女の牛。男は肉質が良くない、こっとい、と言う。
何で知ってるかというと、4年も5年間も人間の言うこと聞いとるじゃろ。じっと。聞いてる。わかるんやよ。
厳しいのがくる。牛を貸すときに、うちの厳しいで気をつけろよ、とすると、1時間経つと帰ってくる。「とんでもない」。そんなもん。目がきょろっとしたらけがれる。わら靴を履かせるんだが、前足にはかせてやる。前足あげた瞬間後ろ脚でけられた。いまでも傷があるよ。でも、そんなやつは、3倍仕事する。人では1日かかるところを1時間でやってまう。小学4年生で、牛を田んぼにひかせにいった。
りょうぶの葉っぱをゆでて乾燥させて食べた。牛もげんげを食べさせたら必ず下痢する。好きだで、ダブダブくう。農耕で使うときに、げんげがある、そんときに、リョウブの葉のうでたのを食べさせると半日もせんで下痢が止んだ。結構、喜んで食べた。
新芽が開いたときに取るの。臼でついて粉にして食べる。山いけば嫌というほどある。うまいで、よく食べる。
クロモジの皮をかじると胃が痛いのが治る。ゆでて、香水にもできる。山行って、腹痛おきたら、クロモジかじれと言われたもんだ。クロモジは葉を湯に入れるといい。カキドオシも、シシウドもお風呂に入れる。シシウドもあんばいして。
トウキは3年で花を咲かせて終わり。
欅は真っすぐになろうとする。曲がった木であっても30年経つと真っすぐになる不思議な木じゃよ。
男と欅は粗末にするなと言ったものだ。ええかげんな男でも必ず真っすぐになる。
欅は春日にたくさんある。中山の四井さんにもあるだろう。
欅は赤木と青木があってね。赤木なら製品にしても良い。青木は狂いがくる。肌を見ればわかる。素性がいいから幹がボコボコ折れる。青木なんかはベターとして折れんでな。
伊勢湾台風では青木も赤木も折れた。20tの重機でも折れんのにな。
畑に入れるために草刈って、干しておいて、セタで負んできた。岐阜の方が見える草刈場で行きたくてな。
カタクリも一面こにあった。カタクリは根が深い。カタクリ掘って、簡単じゃ、おろして、すって、1日ばかりおくと沈むので、上の水あけて、湯を入れて。
カタクリは20㎝ぐらいほらにゃできん。7年しなければできない。カタクリの根を焼いて食べてもおいしい。
ヤマボウシの実は甘い。昨年、どえらいとなった。金平糖ような形。
山ではサルナシ、雪が降りだしてぶらさがってるやつ食べるとおいしいんだ。小さい、キュウイの原種。シラクチフジっていう。四国のつり橋、あれは秋切って収穫したら3年は腐らない。普通の藤は1年。
フジはこっちも橋で使った。川に木橋をかけてある。藤でゆわいた。水出ると両方ゆわくとちぎれてしまう。片側だけゆわいて、つるでくくってあると、川と並行して流れるだけ。丸木橋って半分にわったのをかけてあると、台風で流れる。それをかけなおす。かけなおすの見てたら頭がいい。水が出た時、ぶらんと流れているのをどんどん上流へひっぱっていくの、上流に向かってひっぱって流すと流れてきてちょんと向かい岸に届くから、そこでなおす。そんな橋がほうぼうあった。
牛も川は渡らせた。牛は怖がって橋を渡らないので、牛は泳ぐ。しょっちゅう農耕で使っている牛は賢いんだ。石の上はすべるんだで、はまったり。
それで、ある日、つないどいて、川の向こうで仕事をしていた。牛が一人でひょこひょこ来やがる。なんじゃ、あのやろう。ひっぱっても来んくせに、一人で来る。
昔は住んでいる家の中に牛を飼っておいた。玄関、入ったところに。牛の匂いもあった。汚いけどしゃあないわ。
ときたま、うおーんと呼ぶ。うおー、くれって。はそりって鍋に、藁やらおからやらそれ入れてくえってやる。
うおーってね。見えるし、三本棒の間から頭出してるで、やらな。春日中、家の中に。
小さな牛をね、とうざい、いっさいにならんうちから育てて。2年目ぐらいから田んぼ、使われて、4年、5年で売って、また、飼う。
教えなならなん。止まれっていうのは、ばあっていう。ちょうちょう、まわれっていう。水の中で、ばあっ、ていってたら、1時間もそのまま。鋤をつけたまま。稲の苗取りにいったら、100メーター、200メーター行ったって。ばあって言って、取りにいく。
ねじかみって言って、胃が三つあるでね。出してはギャンギャンと食べておる。田んぼにおらん時は外で寝てまっとってくれる。
もっと賢いことがある。4年間で出すやろ。馬喰ってのが来る。すると、おばあさんが「べろ、長いこと世話になった。すまなんだな」。涙を。ほんとだよ。たわしで、(みけん)なでてやってな。4歳が肉質が最高で、その時、売らんと売れん。女の牛。男は肉質が良くない、こっとい、と言う。
何で知ってるかというと、4年も5年間も人間の言うこと聞いとるじゃろ。じっと。聞いてる。わかるんやよ。
厳しいのがくる。牛を貸すときに、うちの厳しいで気をつけろよ、とすると、1時間経つと帰ってくる。「とんでもない」。そんなもん。目がきょろっとしたらけがれる。わら靴を履かせるんだが、前足にはかせてやる。前足あげた瞬間後ろ脚でけられた。いまでも傷があるよ。でも、そんなやつは、3倍仕事する。人では1日かかるところを1時間でやってまう。小学4年生で、牛を田んぼにひかせにいった。
りょうぶの葉っぱをゆでて乾燥させて食べた。牛もげんげを食べさせたら必ず下痢する。好きだで、ダブダブくう。農耕で使うときに、げんげがある、そんときに、リョウブの葉のうでたのを食べさせると半日もせんで下痢が止んだ。結構、喜んで食べた。
新芽が開いたときに取るの。臼でついて粉にして食べる。山いけば嫌というほどある。うまいで、よく食べる。
クロモジの皮をかじると胃が痛いのが治る。ゆでて、香水にもできる。山行って、腹痛おきたら、クロモジかじれと言われたもんだ。クロモジは葉を湯に入れるといい。カキドオシも、シシウドもお風呂に入れる。シシウドもあんばいして。
2月の終わり クロモジの新芽 |
トウキは3年で花を咲かせて終わり。