中山の麻
お父さんが麻をつくったの覚えてるよ。
長い棒みたいなのをゆでで、川はいで。
麻畑は貝洞にあった。不当ぼうになるね。おかまが宮ん谷にあって、そこに入れて蒸したね。
しゅーっとうちのお父さんがはいでおった。
きれに束にして。
麻は勝手ね。竹を刀のようにして、葉っぱとって、釜でゆでた。
釜でゆでたのが、今の拝殿の近くまで・道路の終点にね。あそこにゆで釜があったよ。
昔のこっちゃで、借りた。持ち寄ってね。束をぐるぐるっと立ててね。おおきおけを上にかぶして、麻を寸法決めてやった。
蒸すというのは、ふっとうして、みはからって、15、20分ではできん。
皮だけ、むければよい。
芯を麻木と言う。皮はいだ美しいのが麻木。麻木は、くずやの一番内側に並べて、かやの穂がのぞかんようにしたもんだ。
鬼皮をはぐ。カラムシもやっていた。カラムシは売買できた。
麻は冷たい水にさらして、繊維を真っ白にする。ひやけて。雪でさらした。
冬になる。そこから雪の中から掘り出す。
しゅうしゅう爪で。繊維がついたものが皮。皮をさらして、色をとおとして、雪にさらし。雪は白くする。鬼皮とってのこったものを。
それを二本、よりをかけてね。よって、結局、縄にする。一本でよりをかけてもよい。
上手に糸にしていくのがその人の技術。
麻は秋にかりとっておく、実がいって、葉っぱみればわかる。色んでこないとわからない。