村に戻ってきたら本当に何もなかった
村に戻ってきたときは、何にもない。戦争に行く時はそんなことあらへん。何にもないということは向こうで聞いていたが、想像以上にのうてびっくりした。
政府が価格を決めて、それでも、買おうこということはできん。配給じゃ。一定の量だけ配給。マッチ棒を一本ずつ分けた。
山の木の葉をくったりして命つないだ。わしは、りょうぶはくわなんだ。ギボウシや、フキ、魚釣りにいくと、ええフキがある。フキ飯だ。おもに食ったのはさつまいも、お茶を切って、さつまいもの苗をどんどん植えて、さつまいも飯を一番炊いた。そこにちょこっと米入れ。さつまいもの軸から葉を。毒にならんものは何でもくった。
聞き書き藤原正身さん(21・9・19)
大正7年7月7日生まれ