釣鐘の出征 話者 中瀬出身 古老
昭和19年の6月
頃。長光寺の鐘も出陣用意のため、赤たすきをかけて。
釣鐘をおろして赤襷をかけて。寺本の六社神社に集まったのを見ている。
その時分は細い細い道を皆さんが、つきおろしていったんやでね。
日坂林道まで降りてくると、荷車に乗せたじゃろうと思う。
寺本の六社神社に5カ寺の鐘が並んでいたのをわしは知ってるわけなんじゃが、赤襷をかけて。
鐘道は鐘でバランスをとっているで、鐘の替わりに大きな石をぶらさげてあったが、
バランスをとるあめに、どこのお寺さんでも。
これを知っているのはわしだけじゃ。
噂では四日市の鋳物工場にあった。門徒の誰かが見に行ったがよう探さなんだ、と。
中瀬は門徒が足りないで、ほうがんした。
市場まで鐘を迎えに行った。わしのおじいさんがすぎいちと言う人やが、ワイヤで吊り下げた。