【灯篭上げ 】
写真は下ケ流の花奪いである。花奪いとは何か。その源流を越前石徹白民族誌(「日本民俗誌体系 第7巻 北陸」48頁)から紹介しよう。
収録は宮本常一。昭和12年と17年で収録。
「正月六日は美濃の長滝のコガイマツリである。六日マツリとも言っている。長滝は石徹白と共に白山の南登山口で、山伏寺である。このまつりは馬鳴菩薩の供花会で、蚕をまつるまつりといわれている。キク・ボタン・サクラなどの造花をつくり、藁の台にさし、拝殿においてまつる。一丈以上の所に吊っておくのである。それをさげると人々は争ってとる。この花を養蚕の時に蚕の棚につけておくと、蚕がよいと言っている。また藁の台をとって来て、ヤドミの木をくくる縄に、その藁を入れてなっておくとよいという。ヤドミというのは蚕のまゆをつけさせるために用いた木の枝で、まぶしのなかったころに用いた。」