【灯篭上げ 3】
年末に完成した灯篭は薬師堂に下げておく。禰宜さんの般若心経が始まると間もなく、ショウガイナ踊りが始まる。
ショウガイナ ショウガイナ とゆたことないが、
薬師如来に振袖きせて奈良の大仏婿に取る
以前、取材したときには、薬師如来は女であると説明された。「豊穣の神様だよ。」歌詞からしても、恋の歌。盆踊りであるが、男性しか踊りに加わわらない。踊りや歌は25年より迫力を増している。現在の住民の力を見た思いがする。
「般若心経を読む、私の手がぶるぶると震えるのを見ませんでしたか」25年前の禰宜さんの声がよみがえってきた。
「普賢様は特におっかねえ神様だよ。見ただけでひっくり返ってしまう」「エッチの神様だ」「女性だと思うんだ。この座り方は」薬師如来や普賢菩薩は神様のように村人の信仰を集めていたが、今回も住民の方から、この仏様は嘘を暴くとの説明も受けた。
形は花奪いという白山長滝神社と同じ系統ではあるが、灯篭そのものは、精霊迎えの火祭りの一つである。
薬師如来は春日村史によれば、不破郡大滝村から迎えたということだ。春日村史によれば美濃国分尼寺に安置されていたと書いてあるが、その時代の仏像であるのなら大変なことである。本来は立像であるらしい。