薬草は先代がやっていた。18、19のころ。香六の人が主になって、伊吹薬草組合をつくった。ヤマトタケルのみことの絵のついた袋で。
うちはやってないがその時分に京都府に炭焼きに行っていて、シャクヤクが杉原のなかに、知らんうちに群生している。赤い目が一杯、雪のなかに。雪が消えると見えん。そいつを、一日中掘った。炭竃の上で干して、目方も軽なる。むしろをぐるっと巻いて、とじて。一杯ぐらいじゃない。鉄道で送ってきた。
ここで大勢おって、飲み薬を刻む、風呂に入れるやつ。シャクヤクを入れるとよかったんじゃん。高う買ってくれた。いまでもあんなもんあったら高い。いまは、鹿が増えて全部食べてしまう。
栃原人参というものはある。1年1年、目が出たやつが、節になる。長いと20年ぐらいたってる。それは苦いんじゃ。とちばにんじん。栃の木の下にある。
藤原 正身 さん