戦争、戦後の食べ物
山の草やら、なんでも食べるものは食べた。たんぽぽでもなんでもかんでも。葉っぱでも。食べなおれん。腹が減ってまう。 りょうぶでも食べた。蒸して干す。もんで、こんこんにして。粉末の手前ぐらいにして。それをご飯に混ぜる。よくみなければご飯が見えなかった。
山に行っても、りょうぶの葉はない。どこの山でもだまって取った。
あざみやふき、わらび、ぜんまい。わらび、ぜんまいは上等のこれ以上ないというごちそう。冬は、干したやつ。それからよもぎ。
一番つらかったのはよもぎ。よもぎの霜が当たるころ。霜があたらんとこ、つまんで、ゆでて、塩気がないのを飯にまぜて、それは食べれん。吐き出すと親に叱られる。飲みこめるものではない。もったいないが離れない。
義務教育卒業したのは終戦のあくる年、21年。くうものもあらせんよ。学校の運動場のふちというものを、全部、なすとか、小豆とかさつまいもとかつくった。その守やで。
わしらは、おふくろが10人産んで。おとこばっか、3人死んでる。
川村 源一さん